婚活1000本ノック DVD-BOX 福田麻貴 八木勇征
3月に最終回となった3時のヒロイン・福田麻貴さん主演のドラマ「婚活1000本ノック」は、タイトルの通り、婚活で出会った男性たちとの“恋愛あるある”がテーマとなっている。
原作は女性目線の作品を多く手がける南綾子さんの同名小説で、作家本人を主人公とした物語だ。 その南さん本人がドラマの放送を観て想ったこととは? 「婚活1000本ノック」第7話の放送前に綴ったエッセイを紹介する。
なお脚本は「ギルティ~この恋は罪ですか?~」「純愛ディソナンス」の大林利江子、「婚活1000本ノック」の原野吉弘が手がける。演出には「知ってるワイフ」「ストロベリーナイト・サーガ」の山内大典、「1リットルの涙」「プロミス・シンデレラ」の村上正典が名を連ねた。
作者本人が主人公として登場する原作モノのドラマや映画は、実はそんなにめずらしくない。麒麟田村裕さんの『ホームレス中学生』、リリー・フランキーさんの『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』など。しかし、それらと拙著『婚活1000本ノック』は同じかといえば、実は全然違う。上記の二作品に限らず、作者主人公モノの多くが、自伝という形式をとっている。つまり、基本的には事実をベースにしている。ここではっきり宣言するが、『婚活1000本ノック』は嘘ばっかりだ。霊視体験なんて一度もしたことがない。あるはずがない。
つまりわたしは拙著をおもしろおかしくするために、自分自身をおもちゃにしてもてあそんだのだ。すぐに男性と関係を持ったり、他人にひどいあだ名をつけたり(本当にそれは全部嘘だ)。当時、わたしは小説家として全く売れてなかったので(すみません今もです)、人がやっていないことをやらねばという一心で、自分自身を利用したというわけなのである。
それが今年一月から、フジテレビで連続ドラマとして放送されることになった。 これは非常に複雑で難しい話だ。わたしがわたしを脚色するのはいい。しかし、他人がわたしを脚色して、あることないことを映像にするのはいかがなものなのか。原作に輪をかけてむちゃくちゃな人物として描かれてしまうことだってありうる。